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酪農学園大学就職部からの「承継開業」Q&A

酪農学園大学

なぜ儲かっている病院を売ろうとするのか?

動物病院の業界の特殊性にその理由があります。
一般企業が売ろうとする理由は、経営者の高齢化もしくは業績不振が2大理由です。
動物病院を売ろうとする2大理由は、激務とモチベーションの低下です。
動物病院の経営者(院長)が他業界の経営者と違うところは、実質労働時間が長いことです。個人開業医であるのに、入院患者対応と夜間の急患対応があるのは動物病院の最大の特徴です。最近は、日本全体の人手不足と一部の動物病院への人材の集中傾向が強まって、獣医師も看護師も人材採用への難易度が高まる傾向にあります。激務の中にあって、人が集まらないことが最大の理由です。
2つ目の理由がモチベーションの低下です。院長が激務に耐えられるのは、仕事へのモチベーションが高いからです。獣医療の進歩が早いので、院長がそれについていけなくなり、体力、知力、気力が衰えに伴いモチベーションが低下します。このことにより院長が引退を考えることになっていきます。

動物病院の売値(不動産を除く)はどのように算出するのか?

専門的には様々な計算式があるのですが、私が重視しているのは、承継後に譲渡代金(不動産を除く)を5年で返済できる金額です。新規開業の場合は、平均的な開業必要資金4000万円を5年で返済できることは、現在の業界環境ではまずレアーケースですので、納得性があると考えています。その他には、病院の場所が大都市圏であればあるほど、開業希望者が多いので高くなる傾向があります。
具体的には、譲渡代金(不動産は除く)は年間売上の60%から100%に収まるケースが多いですが、最大では150%くらいになる場合もあります。

承継開業資金は借りられるのか?

新規開業、承継開業にかかわらず、保証人と自己資金が500万円あれば、4000万円の無担保での借入ができるケースが多いです。今までの動物病院の開業で失敗事例が少なかったので金融機関の信用があるためです。承継開業の場合は、承継前の病院の業績が良い場合が多いので、1億円以上の融資が無担保で受けられる場合もあります。
さらに、新規開業の場合は、保証人がない場合や自己資金が少ない場合は開業必要資金の融資が受けられないのですが、承継開業の場合は、前院長の信用で融資が受けられる場合が少なくありません。
別の方法として、承継開業の場合は、譲渡代金を分割支払いする方法によって、少ない融資資金で開業できる場合もあります。たとえば、売上1億円の病院を8000万円で譲り受ける場合に、2000万円を承継時に支払い、残金の6000万円は10年分割で月々50万円を売上から支払うという方法です。

承継を前提として勤務することは可能か?

そのようなことができる場合があります。
承継候補者が多い大都市圏では少ないのですが、候補者が少ない地方都市圏では、承継候補者を見つけるに時間がかかるので、早めに承継者を決めたい院長の希望と臨床経験が十分でない若い獣医師の双方の希望を合致させるために、承継前の3年~5年前に譲渡契約を締結して、その後勤務医を一定期間経験してから承継開業するという契約も可能です。

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承継元の院長は何歳くらいですか?

50代の院長が最も多く、次が60代、40代の院長も増加傾向にあります。
承継元の院長の年齢が他業界よりも若いことには業界の特殊性があります。
それは、引退理由の違いです。他業界の社長の引退理由で多い理由は、社長の高齢化または業績不振なのですが、動物病院の院長の引退理由で多い理由は、激務のためやモチベーションの低下です。個人開業でありながら入院患者がいる仕事なので、労働時間が長いという特徴があるので、激務でありモチベーションが高くないと仕事が続けられないという業界事情があります。

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院長の年収はいくらくらいなのか?

承継元院長の年収は横のグラフのとおりで、年収1000万円以上が90%、1500万円以上が45%と高い数字になっています。これは、動物病院全体では、年収1000万円以上が約半数ということから考えれば、事業承継を実現した病院には、繁盛病院が多いことを如実に現しているといえます。